錬心抄

2015/04/03
錬心抄 137号 2月号
極意とは己が睫の如くにて 近くにあれど見つけざりけり 北辰一刀流 千葉周作」

極意、奥義、秘伝などという言葉、技芸の世界でよく使う。そういう言葉を周作はうまいこと言っている。何もそんな難しいことではない。近くにあるものだ。ちょうど睫のようで見えないもの。基本ということでろう。千葉周作、北辰一刀流の千葉道場。竜馬は江戸でこの流派を学んでいるが、弟の千葉定吉の門下である。幕末の江戸。斉藤弥九郎の神道無念流、桃井春蔵の鏡新明智流、それと千葉周作の北辰一刀流の道場を 江戸の三大道場といった。力の斉藤、位の桃井、技の千葉。千葉周作という剣術家を知ったのは、昭和31年、少年画報で連載が始まった「赤胴鈴之助」という漫画だった。その後この主人公はラジオやテレビで大変な人気を集めた。鈴之助の剣の師匠が千葉周作だったのだ。司馬遼太郎もこの剣術家を主人公にした「北斗の人」という小説を書いている。そういう周作の言葉というから武術を志すものにはグッとくるのだ。

2015/01/21
錬心抄  136号   2015.1月号
「家に万貫あるは身に一芸あるにしかず」


出典は不明。「一芸は万芸に通ず」と同じような意味だ。貫は目方の基本単位。今は使われない。江戸時代は銭貨を数える単位で、銭1000文を一貫とした。家に万貫というのは、お金がいっぱいある、いわゆるお金持ちということ。そういう生活環境で満足するな。何か一つ優れたものを持てということだ。最近、大学入試でも一芸入試という制度を取り入れている学校が増えている。スポーツではこれまでにある。高校で活躍すると大学は無試験で受け入れる。一芸入試というのは自分だけしかない特殊な技能を持ってると入試に有利ですよということだ。武芸の世界では宮本武蔵の「兵法の理にまかせ諸芸諸能の道となせば万事において吾に師なし」という言葉が有名である。この剣の達人は余技として絵や彫刻に高い境地を切り開いている。「家に万貫あるは身に一芸あるにしかず」。とにかく何かひとつ自分にしかない特技を持つことだ。

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