錬心抄

2016/02/05
錬心抄 148号  2016.2月
「「万理一空」(ばんりいっくう)  五輪書 宮本武蔵」

宮本武蔵の「五輪書」に出て来る。五輪とは武術に関する宮本武蔵の解釈で、「地、水、火、風、空」を指す。宮本武蔵は「空(くう)とは、なにもないことで、ものごとが「ある」ことを知って初めて、「ない」ことがわかる。それが空(くう)なのだ。迷わず、怠らず精進してはじめて空(くう)に近づける。少しの迷いもなく心が晴れ渡ったとき、空(くう)の境地に達する。」と言っている。この言葉を大関昇進時、伝達式で「万里一空の境地を求めて、日々稽古に精進致します」と告げたのが、初場所優勝の琴奨菊だ。二〇一一年九月のことだった。日本人として十年ぶりの優勝を果たした琴奨菊。大関になって何度も角番を味わった。優勝候補に挙がったことがない。ところが今年の初場所は人が変わったように技が冴えた。本人は六ヵ月前に何かをつかんだのだという。それが「万里一空」の境地だったのである。

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2016/01/30
錬心抄   147号  2016.1月号
「稽古とは一より始め十に行き、十より帰る元のその一」
これはお茶の千利休の道歌なのだそうだ。「稽古というのは、一から習いはじめて十まで習い、ふたたび、元の一に戻って習うことによって、これまでとはまったく違う気持ちで一から学ぶことができる。もうこれでよい、と思ったら、進歩は、知らずに終わる。それでは極意をつかむことはできないのですよ」という教え。だれか古今の武術家の言葉だと思って、短冊に書き込んでずっと座右の銘にしていた。利休の言葉だと知って、そうかと感じ入った。まさに人間道、である。もうこれでよいと思った瞬間に人は下り坂である。日ごろの稽古は十まで行ってまた一にもどる、この繰り返しなのだ。利休の四規七則、炭は湯の湧くように置き、夏涼しく冬暖かく、である。自然体、道はみなこれだ。武道の修行の極意と言っていい。

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