田中真紀子さんの存在は、国民には大変都合がいい。政治家が官僚にどうかかわっているか、よく教えてくれるからだ。外務省の一連のゴタゴタは、オフイスに思わぬ風が吹き荒れて、書類があちこちに飛び散り、慌てふためいている、という図である。田中外務大臣と鈴木宗男議員とのバトルの核心は、「言った言わない」、ということではない。アフガン復興支援会議にNGOを排除するように、一国会議員の介入があり、外務省がそれを受け入れたのかどうか、国民はそこに関心を持っているのである。それにしても、あの鈴木宗男という人は、吉本のお笑い芸人によく似ている。富士通のコマーシャルでも人気があるが、「アホの坂田」といったほうが通じる漫才師である。それが「髭面の外務官僚」たちに、おもいっきりいばりちらしているらしい。漫才の世界なら笑って済ませるが、ことがことだけに笑うわけにはいかない。国民に「役に立つ人」というのが、役人なのだ。変なごり押しの「あほらしい国会議員」などにへつらうな、毅然としろ、といいたい。ただ、外務省お役人さんたちのあの「髭づら」というのはどうか。問題起こしている人物には髭をはやしている方が多い。まず、今回の問題で更迭が噂されている野上事務次官も、顔中が髭。日本の風習にはそぐわない。髭が世間の風を妨げる。これでは、アフガンなどで献身的に援助活動に取り組む「NGO」の人たちの感覚は理解できないだろう。アフガン復興会議への排除の対象になった、NGOの、ピースウイングジャパン、大西健丞さんはすがすがしい人だった。日曜日、田原総一郎さんの番組に出て、「外務省を批判するなら、外務省主催の会議には出席するな」と、鈴木宗男議員が、直接携帯電話にかけてきた、と告白した。その他、どれだけ「NGO」活動への妨害、関与をしてきたか、切々と訴えていた。これで、完全に田中真紀子さんの勝利である。そもそも、鈴木宗男という人は、亡くなった中川一郎国会議員の秘書だったことで、世間に名が知れ渡った。総裁選挙に破れた失意の中川一郎さんは、ホテルで自殺する。その当時、鈴木宗男秘書の、自殺前後の行動は、おおいに疑惑がもたれた。石原慎太郎都知事も中川一郎グループのメンバーだったので、いきさつがあちこちの雑誌に発表され、無名だった鈴木宗男秘書は俄然注目を集める。ダーティーなイメージでのスタートだった。すぐに主の地盤から出馬し、当選。あれから、とんとんと階段を登りつめ、自民党・橋本派内での揺るぎない地位を確保する。外務省へ強烈な影響力をいつの間にか手中に。田中真紀子さんが指摘した、外務省主催のアフガン復興支援会議に非政府組織「NGO」が参加しないよう妨害したというのは明らかで、それがどいう目的なのか永田町ではみんなが知ってることだったのである。
|