いよいよ4月から公立小中学校の週5日制が始まった。土曜日と日曜日が休みだと、月曜振り替え休日の場合、3日間子供たちは家にいることになる。こんなに学校に行かない日を増やしていいのだろうか、ちょっと心配である。これは「ゆとり教育」という銘打った、カリキュラムは3割削減、授業時間は2割減らされて、土曜日は学校に来なくてもよろしい、文部科学省という「おかみ」からのお達しなのである。これまで、あれもこれもと公立の学校は生徒たちに勉強を強要し、問題があったから、少し緩めようということなのだろうか。まあ、こんな話は聞いたことがない。むしろ最近の小中公立の内情は、逆ではなかったのか。高校も、公立は昔とは違って、のんびりとしている。上を目指すなら中学あたりから私立に行かせる、というのが風潮で、公立はあまり厳しく勉強に力を入れていない、とこれは世間一般の常識である。それなのにである。さらに勉強はしなくてもよい、などと国で決めてしまうと、公立の学校は一体どうなっていくんだろう、と心配にならざるを得ないのである。「これからの教育は、ゆとりの中で生きる力を育むことを目指し、個性尊重の立場に立ち、一人一人の能力・適性に応じた教育を展開し、具体策として受験戦争の緩和や中高一貫教育の導入、飛び級などの例外措置を実施する」という、これが、4月から施行されている新学習指導要領の趣旨なのである。そもそもこれは外国ではすでに失敗した制度で、アメリカはレーガン以降の大統領、イギリスはサッチャー以降の首相、いずれも教育政策を大きく変更し、宿題を重視し、テストの回数を増やし、教科学習重視の教育を行うことで、子供たちの学力を建て直している。「学校週五日制がはじまり、我が家の二人子供の教科書をのぞいてみると、ほんとに薄い。教える内容を三割減らしたというのだが、これで大丈夫かと、大変不安を覚えた。」「教える内容を減らすよりも、理解出来ない子には、懇切丁寧に指導できるように先生の数を増やすのが本筋なのではないか。」「学力低下を防ぐために、幼児から私立に通わせなければならないとしたら、何のためのゆとり教育か。本末転倒ではないか。」こういった声が、子を持つ親たちから上がりだした。国際的にも日本の子供たちの平均校外勉強時間は、調査国の中で、下位の方で、もちろん平均以下である。まったく勉強しないという割合は平均より大幅に高い。こんな状況なのに、「ゆとり教育」という名のもとに、子供たちをのんびりさせていいとは思えない。今でも競争力に陰りの見える日本に、この制度の元で、これから国際競争に勝ち残れ、というのはちょっと難しい話のように思えるのだ。 |
ヨットによる単独太平洋横断に日本人で初めて成功した堀江謙一さん(62歳)が、
40年前と同じ日の5月12日、サンフランシスコを目指し西宮を出発した。そうそう、あれは昭和37年だった。当時、外国へ行くなぞ、夢のまた夢で、外貨500ドル(1ドル360円の時代です)以上は持ち出せないとか、今のように頻繁に空の便もなかった。当然、ちいさなヨットで太平洋を渡ることなどは許可されるはずもない。ひそかに堀江さんは太平洋に乗り出した。密航である。93日目、どうにかサンフランシスコに入港した。旅券はない。さあどうなるか。不法入国なのだから、犯罪者として扱われるだろう。ところが、さすがアメリカはフロンティアスピリットの国である。
ふところが広いのだ。勇敢な日本人青年「ホリエ」の単独行は市民の大喝采を浴びる。さらに、サンフランシスコ市長ジョージ・クリストファーさんの粋な計らいで、旅券なしの滞在も認められた。取調べのために投獄されるどころかサンフランシスコ市民は熱狂的に歓迎したのだ。法律やなにやらそんなことより、「太平洋の向こうの、あの東洋のちいさな国日本からよくやってきた。よくやった。」と賞賛の声があがったのである。今回の40年を記念した航海の目的は、すでにこの世にはいないジョージ・クリストファー・サンフランシスコ元市長と、市民の皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと計画されたものである。あのときの堀江さんの冒険はどれだけ日本の若者に勇気を与えたか。今度は、60才を越えてからなのだから、この堀江さんの行動は、お年よりのみなさんに夢と希望を与えたはずである。ところが、日本には海の方だけでなく山のほうにも世界的な超人がもう一人いた。プロスキーヤーの、69歳、三浦雄一郎さんが、5月9日の午前9時30
分、長男の豪太さん(32歳)とヒマラヤのチョ・オユー(8201メートル)の登頂に成功したというニュースをチラリとラジオで聞いた。これも恐るべき老人パワーである。この方の冒険歴も、はんぱではない。64年、イタリア・キロメーターランセに日本人として初めて参加、時速172・082キロの当時の世界記録を樹立。
年、富士山直滑降。 年エベレスト・サウスコル8000 世界最高地点スキー滑降(ギネスブック掲載)85年、世界七大陸最高峰スキー滑降を完全達成。今回のチョ・オユーの登頂は来年03年、70歳で世界最高峰エベレスト登頂に挑戦する準備のためだったという。現在の最高齢記録は63
歳。成功すればエベレスト登頂世界最高齢記録の更新となるそうだ。海に山に、日本にはどうしてどうして、世界に負けない誇るべき元気なご年配者が、まだまだいらっしゃるのである。 |