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平成13年8月24日(154号)
「8月15日には必ず参拝する」、「参拝するということで、何故、こんなに騒ぎになるのかさっぱりわからない」。参院選の街頭演説で、小泉さんは意気軒昂だった。戦争で亡くなった人たちが眠る靖国神社を、 総理大臣が、終戦記念日にお参りすことが、毎年こんなに騒ぎになるのは、中国と韓国から、激しい抗議を受け、それにマスコミが呼応するからだ。先の大戦で、日本の軍人たちのやった行為を、決して許さない、というのが両国の言い分である。その英霊が眠る靖国神社に、総理大臣がコウベをたれる、それは、「アジア侵略を反省してない」、「軍国主義を復活させようとしている」、ということなのだそうだ。小泉首相も、とうとう、その激しい口撃に屈し、熟慮の末、参拝の前倒し、 日に参拝してしまった。◆昭和20年8月15日、ポツダム宣言を受諾し、日本は無条件降伏。極東国際軍事裁判(東京裁判)で、戦争指導者が裁かれる。1951年、サンフランシスコ条約で、日本は連合国48 カ国と講和条約を結び、一応の国際的地位をとりもどし、独立した。その時、中国は、台湾の国民政府が参加している。50年の前のことで、日本は、以後、諸外国を侵略したり、紛争を引き起こしたりはしてない。きわめて平和的な国家なのである。ところが、終戦記念日が近づき、総理大臣が「靖国神社」を参拝するかどうか、で、中国と韓国の異常反応が始まる。日本風土に根づいている、仏教や儒教という宗教・哲学は、中国・韓国がそのルーツではなかったか。その戦争ことをいつまでも何故、と不思議に思っていた。「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」、冥土に行った人を、どんな人であれ、平等に扱うのが東洋の思想である。東南アジアのある国は、日本への戦争賠償を、「恨みに報いるに、恨みをもってしない」、といって断ったという。今の中国は、そんな考えを、どこかへ追いやってしまった。悪い人は、どこまでいっても悪いのであって、子々孫々、その類が及ぶのだそうだ。これじゃー、議論はまったくかみ合わない。未来永劫、8月 日が近づくと、西方から、口撃の矢が飛んでくるのだろう。こういうことは、もうやめたらどうでしょう、と小泉さんは、中国と韓国に、行動で示そうとしたのだが、皮肉にも、内部の政府与党「抵抗勢力」にも、阻まれてしまた。◆8月13日、長野県知事の田中康夫さんは、「ヤッシーの着ぐるみ」を着込んだ支持者と、県代表の塚原星雲の応援に、夏の甲子園を訪れた。高野連に試合後、高校を通じて、そんな格好で応援するのは「だめだ」、と注意をうける。8月15日、東京都知事の石原慎太郎さんは、靖国神社を参拝し、記者団に「公人ですか、私人ですか」、ときかれて、「くだらないこと、聞くな、東京都知事・石原慎太郎」と「ゲンメイ」した。田中康夫さんの持ち味は、知事らしからぬ身軽さで、さっと行動をなさることだ。石原慎太郎さんは、人がどうであれ、自分の信条を貫かれる。今回、「熟慮の末」、やつれきってしまった小泉さんに、期待していた国民の大半は、失望しているのである。

平成13年8月3日(153号)
平成13年8月6日 富士山七合目 御来迎
7月29 日の日曜日は、第 19回参議院選挙。即日開票が行なわれ、与党3党が過半数を確保した。あちこちで小泉旋風を巻き起こし、選挙への関心がたかまっていたかに思えたが、投票率はそうでもなかった。選挙に行かない、という層は、相変わらずなのだ。いわゆる浮動票は、この選挙では、ほとんど「小泉自民党」に流れた。まあ、こんな7月の夏休みのさなかに、何も選挙をやることはない、とだれでもそう思うのだが、選挙日程を決めた頃は、与党・自民党の人気たるや、散々なときだった。当時は、浮動票が怖かったのだ。寝てくれたほうがいいとだれかがいって、これも問題発言になった。そうならば、と、真夏の最終日曜日を投票日にして、浮動票を海や山へ追いやろうと謀った、訳である。ところが、あてにしなかったそれらの票が、「じゅんちゃん」の登場で、味方についたのである。自民勝利、と新聞の見出しは躍っているが、本当に強いのかどうか、選挙の世界は、実はよくわからないのである。◆選挙のさわぎで、その日のニュースはあまりめだたなかったのだが、ミュンヘンで行なわれている世界柔道で、「YAWARAちゃん」が大変な記録をうちたてた。世界柔道五連覇の偉業である。大会前、練習中に左ひざじん帯損傷の重症を負った。今回は、無理かなと誰もがそう思った。現地入りしても軽い打ち込み程度で、試合はぶっつけ本番だった。アトランタオリンピックでは、北朝鮮の選手に敗れ、まさかの金を逃した。それをばねに精進を重ね、その後65 連勝という記録を更新中だ。凄いとしかいいようがない。技の鋭さにプラスして、どんなときでも平常心を保つ、心・技・体が充実し、本物の覇者に近づきつつあるのだろう。さらに、記録をのばしてもらいたい。一方、福岡で行なわれていた世界水泳はその日が 最終日だった。競泳1500m自由形決勝。オーストラリアのハケットが、 分 秒 という驚異的な記録で優勝した。もちろん世界新記録、である。今回の世界大会で、世界新記録が8個も出た。そのうち6個がオーストラリアで、イアン・ソープが3個樹立している。水泳はアメリカが最強と思っていたが、最近はそうではないようだ。オーストラリア勢の台頭が際立っている。何もかも世界のレベルをはるかに超えているのである。スポーツの世界は強いのは強い、と結果がはっきりと出る。強いというのは、「YAWARAちゃん」もイアン・ソープ、ハケットも、科学的な練習法で人の数倍も努力したからである。風が吹けば、選挙というのは、政治的訓練も何もしない、そういう人物を勝たせ、政治家≠ノしてしまう。本来の資質とか、能力とか全く関係がない。 今回の「小泉旋風」は、どういうプロセスで政治家というものができるのか、日本の将来を託す政党って何なんだ、ということを、よーく国民に教えてくれたのである。
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