「8月15日には必ず参拝する」、「参拝するということで、何故、こんなに騒ぎになるのかさっぱりわからない」。参院選の街頭演説で、小泉さんは意気軒昂だった。戦争で亡くなった人たちが眠る靖国神社を、
総理大臣が、終戦記念日にお参りすことが、毎年こんなに騒ぎになるのは、中国と韓国から、激しい抗議を受け、それにマスコミが呼応するからだ。先の大戦で、日本の軍人たちのやった行為を、決して許さない、というのが両国の言い分である。その英霊が眠る靖国神社に、総理大臣がコウベをたれる、それは、「アジア侵略を反省してない」、「軍国主義を復活させようとしている」、ということなのだそうだ。小泉首相も、とうとう、その激しい口撃に屈し、熟慮の末、参拝の前倒し、
日に参拝してしまった。◆昭和20年8月15日、ポツダム宣言を受諾し、日本は無条件降伏。極東国際軍事裁判(東京裁判)で、戦争指導者が裁かれる。1951年、サンフランシスコ条約で、日本は連合国48
カ国と講和条約を結び、一応の国際的地位をとりもどし、独立した。その時、中国は、台湾の国民政府が参加している。50年の前のことで、日本は、以後、諸外国を侵略したり、紛争を引き起こしたりはしてない。きわめて平和的な国家なのである。ところが、終戦記念日が近づき、総理大臣が「靖国神社」を参拝するかどうか、で、中国と韓国の異常反応が始まる。日本風土に根づいている、仏教や儒教という宗教・哲学は、中国・韓国がそのルーツではなかったか。その戦争ことをいつまでも何故、と不思議に思っていた。「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」、冥土に行った人を、どんな人であれ、平等に扱うのが東洋の思想である。東南アジアのある国は、日本への戦争賠償を、「恨みに報いるに、恨みをもってしない」、といって断ったという。今の中国は、そんな考えを、どこかへ追いやってしまった。悪い人は、どこまでいっても悪いのであって、子々孫々、その類が及ぶのだそうだ。これじゃー、議論はまったくかみ合わない。未来永劫、8月
日が近づくと、西方から、口撃の矢が飛んでくるのだろう。こういうことは、もうやめたらどうでしょう、と小泉さんは、中国と韓国に、行動で示そうとしたのだが、皮肉にも、内部の政府与党「抵抗勢力」にも、阻まれてしまた。◆8月13日、長野県知事の田中康夫さんは、「ヤッシーの着ぐるみ」を着込んだ支持者と、県代表の塚原星雲の応援に、夏の甲子園を訪れた。高野連に試合後、高校を通じて、そんな格好で応援するのは「だめだ」、と注意をうける。8月15日、東京都知事の石原慎太郎さんは、靖国神社を参拝し、記者団に「公人ですか、私人ですか」、ときかれて、「くだらないこと、聞くな、東京都知事・石原慎太郎」と「ゲンメイ」した。田中康夫さんの持ち味は、知事らしからぬ身軽さで、さっと行動をなさることだ。石原慎太郎さんは、人がどうであれ、自分の信条を貫かれる。今回、「熟慮の末」、やつれきってしまった小泉さんに、期待していた国民の大半は、失望しているのである。
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